CES2019に展示されたキッズテックについて紹介します
はじめに
バンクーバーオフィスメンバーは、去年と同様、世界の最大のコンシューマーテクノロジーイベントのCES2019に行ってきました。去年は、カナダのスタートアップ代表としてCanada Pavilionに出展する機会があり、今年は、パートナー企業のイベント参加や打ち合わせ、営業活動、市場調査も兼ねて、後半の2日間半だけに絞ってCESに参加しました。
去年の出展内容についてこちらの投稿をご参照ください。
なぜキッズテックか?
近年急成長する情報技術分野の課題として、現状の小学校レベルの情報技術教育では不十分であること、業界でのジェンダーギャップが発生していることが挙げられるなかで、国際的に子供向けや女子生徒向けのテック教育を推進する非営利組織の活動が活発になっております。大企業や政府機関からのサポートを受ける体制が成り立ってきていることからも、これから益々注目される分野であると考えられます。
各国の取り組みについて簡単に言及すると、例えば、ニューヨーク市長の発表によれば、2025年までに、ニューヨーク市の小学校から高等学校までの、すべての公立学校においてコンピューターサイエンスの授業が行われる予定となっています。また、2014年からはイギリスの国定カリキュラム(教育課程)のなかに、5歳からのプログラミング教育が含まれています。その他、中国でも同様の取り組みを行う動向が見られ、高等教育レベルでの人工知能基礎の教科書(英語表記:Fundamentals of Artificial Intelligence) が導入されました。
NPOの活動については、Girls Who Codeという組織が、女子生徒に特化した学習課程を通じてIT業界の共通の問題として指摘されているジェンダーギャップの早期対応に取り組んでおり、社会貢献を行なっています。ファウンダーのReshma Saujaniさんは米国の有名な政治家・弁護士でもあり、2015年にFortune誌から40歳以下の最も有力なインフルエンサーとして”40 under 40”を受賞しています。
出典:
①ニューヨーク市の正式ウェブサイト https://www1.nyc.gov/office-of-the-mayor/news/618-15/equity-excellence-mayor-de-blasio-reforms-raise-achievement-across-all-public
②ガーディアン(イギリスの大手の一般新聞)の記事 https://www.theguardian.com/technology/2014/sep/04/coding-school-computing-children-programming
③テックスタートアップに関するニュース専門サイトTechstartups.comによる発表 https://techstartups.com/2018/05/08/the-chinese-government-is-adding-artificial-intelligence-into-the-high-school-curriculum-unveils-mandated-high-school-ai-textbook/
KANO
ハリーポッターシリーズの大ファンの娘のクリスマスウィッシュリストにHarry Potter Kano Coding Kit が入っていたこともあり、KANO 社の展示ブースを見学しました。
KANOは、イギリスのロンドンに拠点をもつスタートアップ企業で、エンターテインメント大企業のワーナーブラザーズと組み、去年10月にリリースした6歳以上の子供向けのプログラミング学習キットである上記の製品を発表しました。
この製品の特長は、モーションセンサー付きの”魔法のつえ”を振って、Javascriptのコードブロックをつなげていくことで様々な"魔法をかけ方”を学べるという、子供たちがゲーム性を味わいながら、面白楽しくコーディングの勉強ができるところにあります。展示ブースのスタッフと話したところ、この商品の開発に1年間ほどかかった、とのことです。
KANOは、今年のCES Innovation Awardを受賞しています。
他に注目されている製品は、Kano Computer Kit です。 その中身は、Raspberry 3、LED、DIYケース、ワイアレスキーボード、メモリー、HDMIケーブル、KANO独自のOSなどで構成されています。 Kano Computer Kit を使うことで子供たちはコンピューターの組み立て方を習えるほか、100個以上のコーディングチャレンジが体験でき、アート・ゲーム・音楽の分野での創造性を育める教育環境を作り上げることができます。また、インターネットや、100個以上のアプリも使用が可能です。
対象年齢は6歳以上となっているため、数多くの学校や塾で既に導入されています。
Educational Insights
Educational Insights は、ロボティクスを起用した子供向け製品を開発する米国企業で、ロボティックスを用いた知育が特徴です。
Coding Critters は、未就学児にプログラミングを教えることを目的とした2019年リリース予定の製品で、実際に試したところ、動物の形をしたおもちゃが遊び場でかくれんぼをしたり、犬とボール遊びができるなど、いろんな楽しい体験ができました。
Pai Techonology
CES2018のイノベーションアワーズ、Creative Child (米国雑誌)のトップトーイアワードなど様々な賞を獲得した Pay Techonology は数多くの商品を出しています。今回展示されたのは、Circuit Conductorという電気回路の設計をすると、その回路での電気の流れをリアルタイムで専用アプリから確認できる商品でした。
日本のキッズテック紹介
やはりキッズテック部門、日本企業の代表の紹介も欠かせない! 日本の数多くのスタートアップが集まったJ-Startupコーナーに設置されていた Life is Tech, Incのブースに行ってみました。 Life is Tech 社は2011年から活躍されている企業で中学生、高校生のためにプログラミング教育サービスを提供しています。展示されていたのは、Disney プログラミング学習教材のテクノロジア魔法学校という、ゲームをしているような感覚で、JavaScript、HTML/CSSなどのプログラミング言語やコーディングを学べるほか、メディアアート、ウェブデザインとゲーム制作を総合的に学習できる教材です。 これから北米に発売されることを大いに期待しています。
その他レポート
以下のリンクにて、CES2019に関するその他のレポートをご確認いただけます。
https://dev.classmethod.jp/etc/ces2019_1/